自民党安倍晋三前首相は15日、同党の中川昭一氏が会長を務める「真
・保守政策研究会」の会合に初めて顔を出した。同研究会は福田政権に距
離を置くメンバーが多く、安倍氏の参加は憶測を呼びそうだ。会合のテー
マは党内で国会提出の検討が始まった人権擁護法案で、国会議員28人が
出席。中川氏は同法案について「治安維持法みたいなイメージだ。内容は
納得できない」と批判した。

 

安倍政権が立ち上げた教育再生会議は安倍前首相の突然の辞任で、後ろ盾
を失った形となり、さして関心を示さなかった福田政権で最終報告をまと
めて幕を閉じたが、具体性を欠いた提案ばかりに終わってしまった。また
外交・安全保障の情報機能強化のために設立を目指していた「対外情報庁」
(日本版CIA)は事実上見送られ、国家安全保障会議(日本版NSC)
もまた先の臨時国会で廃案となり、安倍政権の残していった案件はそのほ
とんどが消え去ってしまった。

 

政権投げ出しと批判されても仕方の無い退陣だっただけに、安倍前首相も
大きな声では現政権批判を言えないだろうが、今回参加した真・保守政策
研究会のように反福田となる可能性がある会に出ることで、その姿勢を明
らかにしたかったのではないか。ゾンビのように復活した人権擁護法案
安倍前首相も強く反対しているとされ、全会一致原則を無視して多数決に
よる採決に持ち込むようなことになれば、自民党内も大きく揺れることだ
ろう。表舞台では無く裏舞台で安倍前首相が活路を見出すかもしれない。