高村正彦外相は17日夜、来日した中国の楊外相と東京都内の飯倉公館で
会談し、チベット問題や東シナ海ガス田開発問題をめぐり協議した。高村
氏はチベット問題で「透明性を確保するとともに対話が重要だ」と平和的
解決に向けた努力を求めた。楊氏は会談後の共同記者会見で「中国の内政
問題だ。外国が干渉すべきではない」と、重ねて中国政府の立場を強調し
た。会談で両氏は、日中間の懸案である東シナ海ガス田開発問題の解決を
目指しさらに双方が努力していくことで一致。中国製ギョーザ中毒事件で
は全容解明のため、迅速な捜査に努めることを確認した。胡錦濤国家主席
が5月6日から10日まで来日する日程も正式に決定した。共同記者会見
で楊氏は「高村氏から『北京五輪は成功裏に開催してほしい』と表明して
もらった」とし、長野市での聖火リレーについても「日本国民から大いに
歓迎され、成功裏にできることを確信する」と強調した。会談では万全な
警備対策を日本側に要請したとみられる。

 

来月来日する胡錦濤国家主席のための地ならしとしての外相会談であった
のであろうが、高村外相がチベット問題や東シナ海のガス田開発問題につ
いて、どこまで突っ込んだ話が出来たのかは疑問である。さらにはうやむ
やにされた感のある中国製毒餃子の事件も食品テロの可能性が消えたわけ
では無く、解決しなければならない事件である。さらには来週に控えた長
野市での聖火リレーは抗議活動が予想され、それを厳重に取り締まるよう
に要請と言うより、命令に近い形できているのではないか。民放のとある
番組で司会のアナウンサーがチベット問題の討論をしている際に中国政府
から「報道規制をせよ」という指示まで来ていると明らかにし、相当な物
議を醸している。他国の報道機関にまで直接的に圧力をかけてくるのは、
それだけ隠したいことが多いのではと勘ぐられる結果になるだろう。胡錦
国家主席の来日をただのデモンストレーションで終わらせてはならない。
ましてやチベット問題を黙認したと世界に誤解を与えるような内容に終わ
っては、正に中国の目論見通りになってしまうのだ。