民主党は結党10年にあたる27日、衆院山口2区補選に勝利し、小沢一
郎代表の求心力が増しそうだ。同党は、「一騎打ちに勝った。民意は圧倒
的にわが方に期待している。自民党政権の終わりの始まりの選挙だ」と勢
いづいている。揮発油税暫定税率道路特定財源一般財源化をめぐる
主張や、後期高齢者医療制度廃止の方針に世論の理解が得られたとして、
福田政権への対決姿勢を強めていく方針だ。民主党は28日午後の幹部会
で、福田康夫首相への問責決議案の扱いに関し、与党が30日に予定する
暫定税率復活のための歳入関連法案再議決の直後に出すことは見送る。補
選に勝利したが、民主党は問責決議案提出のタイミングを決めきれておら
ず、当面は国会での政府・与党の追及を優先する構えだ。

 

両党の総力戦となった山口2区補選であったが、民主党の勝利に終わった。
これをもって福田政権に打撃を与えたとの見方をマスコミは伝えているが、
この結果は冷静な目で見なければならないだろう。山口2区は民主党候補
である平岡氏が押さえていた選挙区であり、郵政選挙の際に現岩国市長の
福田良彦氏にわずか588票差で惜敗し、比例で平岡氏が復活していた。
これは小泉旋風による追い風を与党候補が得たためであって、今回のよう
に新人候補が落下傘で降り立ったケースでは、比例選出であるものの事実
上の現職である平岡氏が優位にあったのは間違いないだろう。そのような
視点を欠いて、後期高齢者医療制度への批判、暫定税率の復活への反対だ
けが補選の勝敗を分けたと報道するのは如何なものか。むろん、総力戦で
敗北した与党の衝撃は大きなものであるはずだが。