米インターネット検索大手のヤフーは12日、ネット検索最大手のグーグ
ルとネット広告事業で提携すると発表した。ヤフーはソフトウエア最大手
の米マイクロソフトとの提携交渉を打ち切ったことも発表、今後はグーグ
ルとの提携を足がかりにして競争の激化するネット業界での生き残りをか
ける。ヤフーは自社サイトの一部に、グーグルから配信を受けた検索連動
型のネット広告を表示して広告収入を増やし、ネット事業の収益改善を図
る。ヤフーによると、年間8億ドル前後の増収効果があるという。提携は
北米市場に限定しており、独占禁止法への抵触を避けるため、グーグルと
の間に「非独占契約」を結び、競合他社の参加も可能にした。提携期間は
最長10年。契約には、2年以内にヤフーの経営陣が入れ替わった場合に
は提携を解消し、ヤフー側が違約金として2億5000万ドルを支払うと
いう買収防衛策も盛り込まれた。

 

米ネット検索市場でシェア6割のグーグルと2割のヤフーによる一位と二
位の提携と言う結果に終わったことによって、ネット検索で後れをとるマ
イクロソフトの起死回生策は失敗に終わった。グーグルは検索連動型のネ
ット広告をはじめとして、検索エンジンの市場を変えていき、後発ながら
もついにはその覇権を握った。ヤフーはマイクロソフトの買収提案から実
質的に救済される形で、グーグルの庇護を受けることを選択した格好とな
った。これによって、誰が一番得をしたのかはある程度の時間が経たなけ
ればわからないが、少なくともマイクロソフトはネット検索での遅れを取
り戻すことは難しくなった。ただし、グーグルの「天下」がこれからも続
くとは限らないものだ。提携がどれほどの実を結ぶのか、これも不透明な
ものがある。検索エンジンを押さえて、さて次はどうするのかと言うビジ
ョンを描けなければならないだろう。