北朝鮮景勝地金剛山北朝鮮兵士が韓国人女性観光客を射殺した事件
について、同地区の事業を担当する北朝鮮の「名勝地総合開発指導局」ス
ポークスマンは12日、「今回の事故の責任は全面的に南側にある」との
談話を発表し、謝罪を要求した。今回の事件に北朝鮮が言及したのは初め
て。韓国側に激しく反発することで、緊張を高め、支持率が低迷する李明
博政権をさらに揺さぶる狙いがあるとみられる。談話は韓国が金剛山観光
事業の中断を決めたことを「われわれに対する挑戦で、耐え難い冒涜だ」
と激しく非難。李政権が北朝鮮側に協力を求めている現地調査を拒否する
立場を明らかにした。また、「南側が謝罪し、再発防止策を講じるまで南
側観光客を受け入れない」との方針を示した。 

 

韓国側が謝罪し、さらに再発防止策を講じろとまで要求する北朝鮮の姿勢
にはかなり疑問を憶えるが、李明博政権が追い込まれた状況であることに
変わらない。北朝鮮がこのまま真相の究明をするとは思えず、かと言って
韓国としても真相が明らかになってない以上、謝罪をするわけにはいかな
いのだ。南北融和の象徴であった金剛山観光が、このような事態をもたら
したことで、北朝鮮との対話を求めていた李明博大統領は頭が痛いところ
であろう。この事件によって韓国内が北朝鮮に対して、抗議活動でも起き
れば、李明博政権はそれを止めるわけにもいかず、ますます事件の解決が
遠のくことになりかねない。そこまで見越して北朝鮮が責任を韓国に押し
付けて謝罪まで要求したと言うのなら、恐ろしいことだ。南北関係が再び
混迷していくきっかけとなるであろう。