韓国統一省によると、北朝鮮南東部の観光地、金剛山で11日午前4時半
ごろ、海水浴場の周辺を散歩していた韓国人の女性観光客が北朝鮮兵士に
銃で撃たれて死亡した。韓国と北朝鮮による南北共同事業として知られる
金剛山観光で、韓国人観光客が銃撃を受けて死亡したのは、1998年の
事業開始以来初めて。韓国政府は、12日から事件の真相が究明されるま
で、金剛山観光事業を中断すると発表した。金剛山観光事業を行っている
韓国の企業、現代峨山北朝鮮側の説明として伝えたところによると、女
性は観光区域から鉄条網を越えて、軍の警戒区域に1人で入った。北朝鮮
の兵士が停止を求めたが、女性はこれに応じず逃走した。このため兵士は
警告射撃をした。しかし、女性がさらに約1キロ、集落に向かって逃げた
ために銃撃したという。

 

韓国の李明博大統領にとってまた一つ頭痛の種が増えてしまったようだ。
韓国人の女性観光客が北朝鮮の兵士に銃撃され、射殺されると言う事態に
これをどう収拾するのかが難しいのではないか。北朝鮮が相手となると、
まともな説明を期待することは出来ないであろうし、そのまともではない
説明を韓国側が受け入れたら、国内で相当な反発が起きる。間の悪いこと
に、停滞する南北関係の打開のために「全面的な対話の再開」を李明博
統領が呼び掛けた途端の出来事であり、李大統領は苦しい立場に追い込ま
れた。真相が明らかになるまで金剛山の観光事業は中断され、南北融和の
象徴は脆くも崩れ去った。南北融和を進めるために、敢えて北朝鮮の説明
を全面的に呑むのか、それとも真相の究明を徹底的に行うことになるのか、
南北関係はまた新たな課題を抱えることになった。