福田政権に新たな火種が26日、浮上した。太田誠一農相の政治団体が政
務秘書官の自宅を事務所として届け、多額の事務所費を計上していたこと
が判明した。農相は週内にも経費の詳細を整理し、発表する意向で、説得
力のある説明ができるのかが焦点。インド洋給油延長法案などを抱える臨
時国会を目前に野党側に付け入るすきを与えた形で、福田康夫首相は対応
に苦慮している。農相は記者会見で「次善の策として秘書が自宅を事務所
として届け出た。公開しているわけで、透明性は確保されている」と説明。
「問題は全くない」と訴えたが、不自然な部分も残った。農相は家賃は払
っていなかったと主張したが、それなら事務所費を何に使ったかと問われ
ると「わからない」と口ごもった。

 

安倍政権の命取りとなった政治とカネの問題は、福田政権下では不思議と
取り上げられることは少なかったのだが、ここにきて太田農相が政務秘書
官の自宅を事務所として届け、多額の事務所費を計上していたことが判明
した。太田農相は支出の裏付けとなる領収書などの資料を週内にも公表し、
架空計上ではないと説明する予定だが、福田改造内閣臨時国会を前に早
くも出鼻をくじかれた格好となった。連立を組む公明党からも不安材料は
さっさと切り捨てるべきとの意見も出ており、太田農相がきちんとした説
明が出来ようが出来まいが、野党は攻勢を強めてくることであろう。そう
なると想定される年内解散となった場合、福田政権は追い込まれた格好の
まま選挙戦に突入することとなり、敗北は必至である。太田農相の事務所
費問題は福田政権の致命傷となる可能性が出てきたわけだ。