国務省のウッド副報道官は26日、北朝鮮寧辺核施設の無能力化措置
を中断したと発表したことについて「(6カ国協議プロセスの)後退であ
り、明らかに合意に違反している」と非難、重大な懸念を示した。北朝鮮
外務省は中断の理由として、米側がテロ支援国指定を解除していない点を
挙げている。これに対し、同副報道官は「テロ支援国指定の解除を進める
には、6カ国協議で包括的な検証体制を確立させることが必要だ」と指摘。
北朝鮮に対し、「プロセスを後退させずに前進させる」よう求めた。 

 

核施設立ち入りなどの手順を定めた申告書検証案に北朝鮮が回答しないの
を理由に米国はテロ支援国家指定の解除を先送りしたわけだが、もともと
が大統領選前の10月末までに寧辺核施設の無能力化作業を終え、「外交
成果」を上げようとするスケジュールが前提にあった。その揺さぶりのた
めに、無能力化を中断すると発表したのであろうが、譲歩に譲歩を重ねて
きた米国は裏切られた感が強いだろう。譲歩した分だけさらに要求をして
くるのが北朝鮮と言う国家である。正に一筋縄ではいかない交渉相手なの
だが、我が国としても先の日朝協議で合意した拉致被害者に関する「再調
査」が今秋までに終了するとの話も反故にされる可能性が出てきた。また
か、と落胆するのは簡単である。北朝鮮の揺さぶりに動揺して安易な妥協
をしてはならないのだ。