麻生首相は2日午前、参院本会議での各党代表質問に対する答弁で、「衆
院解散という政局より、景気対策など政策の実現を優先したい」と述べ、
緊急経済対策を盛り込んだ2008年度補正予算案の成立を当面の最優先
課題とする意向を表明した。首相はさらに、消費者庁設置関連法案、イン
ド洋での海上自衛隊の給油活動を延長するための新テロ対策特別措置法改
正案の成立を目指す姿勢を強調した。また、年金制度改革に関し、消費税
率を10%に引き上げて、基礎年金の財源を全額税方式とする自らの持論
について、「良い方法と考えている。しかし、国民に広く納得してもらう
ことが必要で、一つの選択肢として議論を進めてほしい」と述べ、将来的
な検討課題とする考えを示した。民主党輿石東参院議員会長の質問に答
えた。輿石氏は質問の中で、参院での補正予算案の審議に関し、「審議拒
否も引き延ばしもするつもりは毛頭ない」と述べた。

 

当初のシナリオでは自民党総裁選を盛り上げて、新総裁が新首相に就任後
にそのまま解散に打って出る、と言うものであったはずだが、米国発の金
融不安からの景気後退の可能性が出てきたため、これを放り出しての衆院
選とはいかなくなった。シナリオ通りとはいかなくなったとは言え、もと
もと麻生首相は全ては緊急経済対策を盛り込んだ補正予算を成立させてか
ら、との姿勢を崩してはおらず、早期解散に打って出るシナリオを描いて
いたわけではなかろう。むろん、この状況を好機と見るのは民主党の小沢
代表である。これまでの傾向から政局重視の戦略を取るのは間違いなく、
中山前国交相の問題発言や汚染米の問題を徹底的に追及してくることだろ
う。与党と話し合い、今必要とされている政策の実現するなど毛頭考えて
いないであろうし、与党に塩を送ることなど有り得ないはずだ。参院民主
党のトップである輿石氏は「審議拒否も引き延ばしもするつもりは毛頭な
い」と言うものの、果たして約束を守るであろうか。あれこれ理由を付け
て、麻生叩きに走るようでは大勝は覚束無いのではなかろうか。