厚生年金記録の改ざん問題に関連して、社会保険庁職員が政府管掌健康保
険(政管健保)の不正にも関与していたことが21日、元職員の証言で分
かった。厚生年金を過去にさかのぼって脱退させる記録改ざんと同時に、
同庁が所管していた政管健保からも脱退。その際に無保険状態となった中
小企業の従業員が医療費を全額請求されて不正が発覚しないよう、政管健
保で費用を肩代わりしていた。同日開かれた民主党の会合で、元職員の尾
崎孝雄氏が証言した。同氏は「トップも知っていた。組織的犯罪と言うし
かない」としている。 

 

すでに年金の信頼は地に落ちていると言って良いが、どれほどの不正が行
われていたのかは、きちんと調査しなければならないだろう。不正が発覚
しないように、さらなる不正を犯すサイクルには呆れるばかりだ。一度不
正をしてしまうと、責任逃れのために延々と同じことを繰り返し、国民の
老後を支えるはずの年金を弄んだのである。むろん、過去の不正を明らか
にしたところで、年金の信頼が回復するものではなかろう。いったい今後
の年金と言うものをどうするのか、少子高齢化がかなりのスピードで進み、
少ない現役世代が多い高齢世代を支える構図は、遠からず破綻する。それ
に手を付けずに放置することは、それもまた組織的犯罪同様と言えるので
はなかろうか。