リクルートが地域限定で行なっている新事業「タウンマーケット無料宅配
サービス」に新聞業界が神経をとがらせている。これは週刊テレビ情報紙
と地域のチラシを1週間分まとめて、毎週金曜日に無料で宅配するという
サービスで、エリアを急速に拡大しているのだ。リクルートは該当地域の
住宅に申込書を配布して会員を集めており、インターネットでも受け付け
ている。会費は無料で、会員になれば、話題のタレントインタビューなど
を掲載している1週間分のテレビ番組表と、地域のスーパー、家電量販店
などのチラシを自宅までクロネコメール便で宅配してくれる。「テレビ欄
とチラシで十分」という新聞購読者には、手厚い代替サービスといえる。

 

我が国の新聞業界は再販制度と個別宅配によって、支えられてきたと言え
る。また、新聞は多大なコストがかけられて作られるものであり、販売収
入だけで、売り上げが成り立つものではない。つまり、広告収入と言う柱
があってこそ、利益を出せる構図となっていたが、景気後退の影響をモロ
に受けたのが広告なのである。広告収入が激減したことで、赤字決算とな
る新聞社が相次ぎ、苦しい台所事情が続いている。そして、今回リクルー
トが始めたサービスも、新聞販売店を支えている折り込み広告を奪うこと
となりかねないのである。新聞そのものと言うよりも、中に入っている広
告が必要と言う家庭にとっては、このサービスを受ければ済んでしまう。
これを新聞業界が脅威と見るのは当然だろう。新聞社にとっては販売店
の間に押し紙問題を抱え、新聞の折り込み広告が減少すれば廃業に追いや
られる販売店も出てくるはずだ。