世界保健機関豚インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」に引き上
げたことを受けて、外務省は28日「感染症危険情報」を出し、メキシコ
への不要不急の渡航を延期するよう求めた。退避勧告に次ぐ厳しい要請。
強制力はないが、旅行社によるツアーや企業の出張が中止される動きがさ
らに広がる見込みだ。メキシコに滞在する日本人には、今後出国が制限さ
れたり、十分な医療が受けられなくなったりする恐れがあるとして、早め
の退避を検討するよう呼びかけた。またメキシコ人の日本入国では、入国
査証の免除措置を一時停止。査証発給の際、健康状態の質問票の記入と診
断書の提出を求める。米国など感染者が確認された他の国については、死
亡者が確認されていないとして、同様の措置は当面見送った。

 

世界が景気後退に陥る中で、さらなる不安要素として出てきたのが豚イン
フルエンザである。これまで鳥インフルエンザの脅威は何度となく報道さ
れてきたわけだが、今回メキシコで多数の感染者を出しているのは、豚イ
ンフルエンザが原因とされている。航空機の発達で多くの人々が世界中を
簡単に行き来出来るようになった反面、病気も同時に広がっていく構図は
そう簡単に変わらないだろう。ワクチンの開発には数か月かかるとされ、
それまでに出来る対策としては、国内に感染者を発生させないよう水際で
食い止める他に手は無い。それにしても、大型連休の前に発覚したのは不
幸中の幸いであったろう。メキシコに行く人がどれだけいるかは分からな
いが、そういった人達が渡航中に豚インフルエンザが現地で広まり感染し
たまま帰国していたらと思うと、水際で防ぐどころの話ではなかった。政
府には今後もしっかりした対応を求めたい。