次期衆院選の先行指標として注目された東京都議選で、与党は勝敗ライン
と位置づけてきた過半数を割り込んだ。自民党が第1党から転落するのは
44年ぶりで、同党は歴史的な敗北を喫した。党内では「麻生太郎首相の
下では衆院選を戦えない」との声が一段と強まっており、首相退陣を求め
る「麻生降ろし」が加速するのは必至だ。自らの手で衆院解散を強行する
のか、退陣するか。首相の決断の時が迫っている。「都議選の1人区での
惨敗は、衆院選小選挙区での惨敗を想起させる。麻生首相による解散は
不可能だ」。自民党ベテラン議員は次期衆院選に強い危機感を示した。

 

都議選の結果は自民党の歴史的敗北となり、公明党が死守した議席と合わ
せても過半数には達しなかった。特に1人区での惨敗は致命傷となり、民
主党を第1党に押し上げる要因となった。また、共産党生活者ネット
ークと言った小政党・グループも軒並み議席数を減らしている。複数候補
を擁立した民主党に押し出された結果なのだろうが、やはり無党派層が雪
崩を打って民主党に票を投じたのが大きかった。さらに自民支持層の3割
民主党に投票した、との一部の出口調査も明らかとなっている。すでに
自党の支持層すら離れ始めている中で、次期衆院選は勝負になるのか。こ
れまで以上に高い投票率が予想され、無党派層と言う風を味方につけた民
主党が次期衆院選でも大勝を果たす可能性が高まってきた。この風は容易
には止まず、大きなうねりとなって衆院選を襲うであろう。ただ、次期首
相と目される鳩山代表について、故人献金問題だけは次期衆院選までには
はっきりとした説明が欲しいものである。