民主党岡田克也幹事長は13日夜、同党の衆院選マニフェストの目玉の
一つである高速道路無料化について「われわれはもともと首都高速阪神
高速は無料化するつもりはない。無料化したら混乱が起こることは分かり
切っている」と述べ、首都高速阪神高速は除外する考えを示した。都内
で記者団に語った。同党はマニフェストに「高速道路の原則無料化」を明
記し、首都高速阪神高速には触れていない。一方、マニフェストの下敷
きとなる2009年版政策集では「首都高速阪神高速など渋滞が想定さ
れる路線・区間については社会実験を実施して影響を確認しつつ無料化を
実施する」としている。都市部を貫く2路線について、党内には無料化の
対象から外すべきだとの意見があった。岡田氏の発言はこうした意見を踏
まえたものとみられるが、公示直前の事実上の修正となるだけに公約との
整合性が問われるのは必至だ。 

 

高速道路の無料化については、実質的に高速道路が国営化されることを意
味する。東日本高速道路の八木会長は無料化によって、維持管理費が国の
予算から安定的に確保できず、安全管理がおろそかになりかねない、職を
失う料金所職員5千人超の再雇用問題、効率化やサービス向上など民営化
の効果を評価に入れていない、などと無料化に伴う問題点を挙げている。
約31兆円ある未返済分については国が承継して60年間で償還するとし
ているが、債務がそのまま国の借金にする構想は明らかに受益者負担の原
則に反しているだろう。さらに言えば無料化はあくまで自動車ユーザーだ
けの優遇措置であり、航空会社、鉄道会社やフェリーと言った他の交通機
関には少なくない影響を与えるのではないか。メリットだけを強調し、デ
メリットは考慮しない、もしくは政権を取った後に考えれば良いと考えて
いるのなら、大きな禍根を残すだけだ。ぶち上げた以上は看板政策を引っ
込められないだろうが、せめてデメリットについても語るべきだろう。