弾道ミサイルに対処するミサイル防衛で、防衛省は15日、ミサイルを迎
撃する地対空誘導弾パトリオットを全国に拡大配備する方針を固めた。北
朝鮮の脅威を踏まえ、対処能力を強化する措置で、追加の装備取得を平成
22年度予算の概算要求に盛り込む。航空機撃墜用のPAC2運用部隊が
混在する航空自衛隊の高射部隊はすべてPAC3化し、部隊の削減で合理
化も図る。PAC3は全国に6つある空自高射群のうち、3つの高射群へ
の導入を計画していた。18〜19年度に首都圏をカバーする入間基地の
第1高射群に配備を完了。20〜22年度には名古屋や大阪に展開する岐
阜の4高群、九州北部を防護する春日の2高群にも導入する。

 

北朝鮮によるミサイル発射が続いたことで、極東の緊張は高まりつつある。
政治・経済の中枢機能が集中している主要都市を優先して守る、それがP
AC3の配備計画であったが、これを全国の高射部隊に広げることで、さ
らにPAC3を展開していくこととなった。むろん、PAC3の射程範囲
は決して広くは無い以上、ミサイルの発射情報をすぐにつかんだ上で展開
させなければならない。4月の北朝鮮によるミサイル発射実験にしても、
事前に発射されることが分かっていたため、発射を待つだけでよかったが、
実戦ともなれば随分と状況は変わってくるだろう。予算が削減され、人員
も減る一方の自衛隊。周辺各国が軍拡を続ける中で、我が国だけが弱体化
をしている気がしてならない。果たしてミサイル防衛は有事の際に機能す
るのであろうか。