第45回衆院選は30日、投開票され、480議席のうち民主党が小選挙
区と比例代表を合わせて単独で過半数を大きく上回り308議席を獲得し
た。1996年の旧民主党結党以来、13年で悲願の政権交代を果たした。
93年衆院選自民党過半数を割り込み非自民8党派による細川連立政
権が発足したが、2大政党間の政権交代は戦後初めてで、戦後政治の大き
な転換点となる。首相指名選挙をする特別国会は9月14日の週にも開会、
民主党鳩山由紀夫代表が首相に指名され、同党を中心とした連立政権が
発足する。与党は自民、公明両党で公示前の計331議席から計191議
席を減らし、自民党は1955年の結党以来、初めて第1党の座を失う大
惨敗を喫した。麻生太郎首相は30日夜、NHKの報道番組で「責任を負
わなければならない」と述べ、自民党総裁の辞任を表明した。自民党総裁
の任期は9月末で、特別国会後に総裁選を実施し新総裁を選出する。来年
夏の参院選に向け党勢の立て直しを迫られるが、新執行部にとって苦難の
船出となる。

 

55年体制下では不在だった政権政党に代わりうる野党の存在。それが長
らく自民党を政権の座に就かせた最大の要因であった。自由党と合併した
民主党が、反自民党の受け皿として成長していく中で、自民党構造改革
を掲げた小泉純一郎元首相が異例の長期政権を打ち立て、郵政選挙で大勝
を収めることに成功した。だが、その反動からか、自民党は支持率が低下
するたびに総裁の顔を挿げ替えて、国民の信頼を失っていったのである。
安倍、福田、両元首相の後を継いだ麻生首相は、就任してすぐの冒頭解散
を避け、米国発の金融危機による景気後退への対処を優先したことで、結
果から言えば解散のタイミングを逸したと言えるだろう。今回の衆院選
郵政選挙とは逆の展開となり、民主党が300議席を超える大勝を収め、
自民党公明党は大物議員が次々と落選し、重複立候補していた比例で何
とか復活しているケースが多かった。選挙戦略を担当した小沢代表代行の
手腕だけで無く、急遽擁立されたような議員ですら当選出来たのは、やは
り「風」によるものだったとしか言いようがない。惨敗を喫した自民党
とっては、来年の参院選に向けて早急な立て直しが求められ、大勝した民
主党は驕ることなく政権運営に当たらなくてはならないだろう。そして、
民主党に票を投じた有権者は、即効性のある改革だけを期待するのでは無
く、長期的な目線で民主党政権運営を見極めなければならない。