三菱重工業の子会社、三菱航空機は2日、国産初となる小型旅客機「MR
J」を米国の地域航空会社から受注したと発表した。海外からの受注は初
めてで、受注機数は100機。三菱航空機は、これまでに全日本空輸から
25機受注しており、合計受注機数は125機となった。MRJを発注し
たのは、米ミズーリ州セントルイスに本社を置く「トランス・ステーツ・
ホールディングス」。同社は米国有数の地域航空会社を傘下に持ち、毎日
350便を50都市間で運航している。TSHは低燃費や低騒音といった
MRJの環境性能を評価したとしており、納入は平成26年以降に順次行
う見通し。同日会見した三菱航空機の江川豪雄社長は「燃費性能や環境性
能に高い評価をもらった。今後、世界販売にさらに力を入れて、次世代の
小型旅客機のスタンダードにしたい」と述べた。

 

MRJの損益分岐点は300機程度とされるが、発注があったのは全日空
の25機のみで、その先行きが危ぶまれていた。ここにきてトランス・ス
テーツ・ホールディングスと言う米国の航空会社が一気に100機を発注
したことで、三菱としても、ひとまずは安堵したことであろう。小型、中
型旅客機はブラジルのエンブラエルやカナダのボンバルディアが主流であ
り、そこに新規参入を果たすのは容易なことでは無い。中国やロシアも、
この分野への参入を狙っており、メイドインジャパンの航空機が何処まで
通用するか、実際に運行を開始してからが勝負となるだろう。各社ともに
燃費性能や環境性能には、これまで以上に力を注いでくるであろうし、初
参入であること自体がネックともなってくる。如何に受注先へのバックア
ップ体制を築けるか。今回の受注に油断することなく、引き続き販売体制
を強化し、日の丸ジェットを世界に羽ばたかせて欲しい。