民主党小沢幹事長は10日、和歌山県高野町高野山金剛峯寺を訪ね、
102の宗教団体が加盟する「全日本仏教会」会長の松長有慶・高野山
言宗管長と会談した。小沢氏は会談後、記者団に、会談でのやりとりにつ
いて、「キリスト教イスラム教も排他的だ。排他的なキリスト教を背景
とした文明は、欧米社会の行き詰まっている姿そのものだ。その点、仏教
はあらゆるものを受け入れ、みんな仏になれるという度量の大きい宗教だ」
などと述べたことを明らかにした。さらに、小沢氏は記者団に、「キリス
ト教文明は非常に排他的で、独善的な宗教だと私は思っている」とも語っ
た。小沢氏の発言は、仏教を称賛することで、政治的には「中立」ながら
自民党と古くからつながりのある全日本仏教会民主党との関係強化を求
める狙いがあったものと見られる。しかし、キリスト教イスラム教に対
する強い批判は、今後、波紋を広げる可能性もある。

 

小沢幹事長なりのリップサービスなのだろうが、あまりに一方的な見方で
あり、キリスト教イスラム教関係者の反発は必至であろう。仏教は度量
が大きく、キリスト教イスラム教は度量が小さい、そんな単純な図式が
成り立つわけも無く、わざわざ波風を立てたとしか思えない。それとも単
なる票目当てで、このような馬鹿げた発言をしたのなら、軽率の限りであ
る。政権を担う党の要職が、こう言った認識を示せば、当然のことながら
世界には伝わることになる。また、実質的なキリスト教国である、米国の
オバマ大統領の来日直前と言うタイミングであり、オバマ大統領がこの発
言を耳にすれば当然ながら不快感を憶えることになるだろう。米国の再生
に取り組んでいる中で「排他的なキリスト教を背景とした文明は、欧米社
会の行き詰まっている姿そのもの」と一方的に切り捨てられては、たまっ
たものではない。少なくとも、今回の小沢幹事長の発言は独善的であると
言う他はなさそうだ。