鳩山由紀夫首相の資金管理団体友愛政経懇話会」をめぐる偽装献金問題
で、鳩山氏側が実母から5年間に提供された9億円について、東京地検
捜部が税法上の「贈与」と認定する方向で捜査を進めていることが28日、
関係者への取材で分かった。実母側の関係者は特捜部の参考人聴取に対し、
「鳩山氏本人への貸付金だった」と説明しているとされるが、貸し付けの
実体がないことが判明。贈与と認定されれば、鳩山氏に贈与税4億円余り
の納税義務が生じる。関係者によると、同会の会計事務担当だった元公設
第1秘書は、懇話会の資金が不足するたびに鳩山氏ら親族の資産管理会社
六幸商会」の鳩山氏の口座から現金を引き出していた。一方で10年以
上前から、実母からも資金提供を受けており、平成16〜20年までの5
年間では毎年1億8千万円、総額は9億円に上った。このうち数千万円が
懇話会に流れ、偽装献金の原資になっていたとされる。この資金について、
実母側の関係者は特捜部の事情聴取に「実母から鳩山氏本人への貸付金」
と説明しているという。しかし、鳩山氏と実母の間では利息や返済計画な
どを定めた借用書がなかったほか、返済したことを示す証拠もなく、貸し
付け実体がないという。

 

贈与でも無く寄付でも無く、貸付であると説明していたものの、借用書が
ないばかりか返済期限や使途の制限もない、そんな貸付金があるものだろ
うか。第一、貸付であるなら返済をしなくてはならないはずだが、それす
ら見当たらない。これでは単なる生前贈与であって、それを政治資金に流
用していたに過ぎないではないか。貸付金扱いにしている以上、贈与税
支払っているわけも無く、脱税の誹りは免れないだろう。自民党の棚橋泰
文元科学技術担当相が衆院法務委員会で、鳩山首相が株売却の所得約72
00万円の税務申告をしていなかった問題に関し、「脱税総理」と繰り返
し発言したこともあったが、図らずも違う形で脱明が証明されようとして
いる。首相の実母の参考人聴取は当然必要であろうし、首相がきちんと国
会で説明することも必要である。「母親からの資金提供はないとじたい」
と他人事のように語る首相の姿勢は、国民の信頼を失うだけで無く、首相
としての資質を問われかねない。追い込まれた鳩山首相が辞任するのでは、
との報道も一部では出ており、まだまだ目が離せない状態である。偽装献
金問題は、鳩山首相の一大スキャンダルとして膨らみ始めている。小沢幹
事長が来年の参院選鳩山首相を担いで戦うとは思えず、辞任も十分に考
えられる展開である。