政府は来年4月から、ガソリン税などに上乗せされている暫定税率を廃止
し、ガソリンや軽油などの化石燃料に課税する地球温暖化対策税を導入す
る方向で検討に入った。景気低迷の影響で2010年度は深刻な税収不足
に陥ることが確実視される中、暫定税率を廃止すれば国と地方合わせてさ
らに約2・5兆円の税収が失われるため、環境税を導入して財源確保を図
る。環境税導入は温室効果ガスの大幅削減方針を掲げる鳩山政権の環境政
策にも合致すると判断した。政府が環境税導入を目指すのは、鳩山政権の
試金石となる10年度予算編成で厳しい財政事情に直面しているためだ。

 

景気後退による税収減が確実な中で、ガソリン税などに上乗せされている
暫定税率を廃止することは貴重な財源をそのまま失うことになる。それを
補うために環境税の名目で、暫定税率の廃止で穴が開く国の税収を手当て
せざるを得なくなったようだ。概算要求で過去最大規模の95兆円まで膨
らんだ歳出をカットしようにも、行政刷新会議事業仕分けの現在までの
成果は約1・6兆〜1・7兆円程度にとどまり、これも政治判断で復活す
る削減分も出てくることになるだろう。環境税と銘打っているものの、そ
の中身が単なる財源の確保に過ぎないのは明らかであり、産業界からは反
発が出ている。例えば鉄鋼業界は年間400億円を超す負担になり、競争
力低下を懸念し「財源確保のための増税と思われ、反対せざるを得ない」
と明確に反対の姿勢を示している。暫定税率を廃止すると言っておきなが
ら、その穴埋めとして環境税の名目で導入することは、看板の架け替えに
過ぎず、理解を得るのは難しいだろう。