政府・与党は8日に決めた緊急経済対策で、財源の一部として1000億
円の建設国債発行を決めた。藤井裕久財務相は、追加経済対策で「国債
行はしない」と繰り返していたが、国民新党の増額要求に抗しきれなかっ
た結果だ。同様に、2010年度予算でも要求額は膨らんでおり、財政当
局が財政規律を守るため、各担当大臣の要求に抵抗しきれるか、危うい状
況が生まれつつある。09年度二次補正予算について、政府は当初、予備
費など既存財源で賄う方針だった。財務省幹部は「国民新党に振り回され
た」と嘆く。財政は無秩序な膨張が許される状況にない。財務相は8日、
09年度税収が大幅に落ち込み、国債発行額は53兆5000億円と、空
前の規模に膨らむ見通しを発表。10年度税収も景気の急回復は見込めず、
09年度並みの低水準にとどまる公算が大きい。95兆円余に膨らんだ1
0年度予算の概算要求を圧縮しなければ、国債発行額を44兆円以下に抑
える目標の達成は危うい。

 

遅まきながら緊急経済対策を打ち出した鳩山政権だが、遅きに逸したとし
か言いようがない。昨秋のリーマン・ショックに端を発する金融危機で、
我が国も大きな影響を受け、色々と物議を醸したが、年越し派遣村では、
当時野党であった民主党社民党の幹部が集会に参加し、雇用対策に取り
組む姿勢をアピールしたのを忘れたわけではあるまい。税収よりも多い国
債を発行しなくてはならなくなったのは、もはや危険水域はとうに超して
いる。藤井財務相は「財政は極めて危機的な状況にある」と述べ、引き締
めを図ったものの、政権交代が最大の景気対策と叫んできたのは民主党
ある。そして「それまで私ども野党時代を通じて、経済対策をもっと早く
打てば良かったのにな、という思いがあります。」とまるで他人事のよう
に発言する鳩山首相、自身の脱税疑惑も解明されないまま、「景気・基地
献金」の3K問題によって、支持率は低下し始めている。10年度予算
が野放図な額となれば、指導力を問われることになり、高い支持率で支え
られている鳩山政権に、黄信号が点灯することになるだろう。