鳩山由紀夫首相の資金管理団体友愛政経懇話会」を巡る偽装献金問題で、
鳩山首相が実母側から受領した資金の大半について、贈与だったと認めて
修正申告する方針を固めたことが関係者の話で分かった。実母からの資金
提供は08年までの5年間に計約9億円で、このうち鳩山首相の個人事務
所の運営費などに充てられた資金を除き、約1億円が友政懇の政治資金と
なり虚偽記載の原資になったことが判明している。政治資金と認定される
と贈与から除外される可能性があることなどから、東京地検特捜部の刑事
処分が出た後、贈与総額を算出して修正申告するという。実母からの資金
提供は▽借用書も返済期限もない▽返済されていない▽実母側は使途も把
握していないことなどから、特捜部は贈与との見方を強めていた。

 

首相の弟である鳩山邦夫総務相も同様に、実母からの多額の資金提供が
発覚し、既に贈与税を支払う方針を表明していた。それを見ての行動かは
分からないが、鳩山首相も贈与であったことを認め、修正申告することと
なった。兄が機先を制するかと思いきや、弟に先を越されてしまい、なし
崩し的に認めてしまうなど恥ずかしい限りではないか。「親子の貸し借り
という論理は通用しない。贈与税を支払う」と言い切った鳩山元総務相
対し、「実母からの資金提供はないと信じたい」などと他人事のように振
る舞った鳩山首相、立場が違うとは言え、こうまで対応に差が出るのは如
何なものか。平成21年度、我が国の相続税贈与税による税収は約1兆
5000億円を数え所得税の1割に相当する税収減となっている。一国の
首相が脱税まがいのことをしておきながら、知らなかったので修正申告を
する、の一言で済まされる話なのだろうか。これではまともに納税する方
が馬鹿を見る、首相自らがそう言ったに等しい。