鳩山由紀夫首相は11日午前、米軍普天間飛行場の移設問題について、首
相官邸で記者団に対し「アメリカとしては、何も変わらないのが心の中で
はベストだという気持ちは伝わってきている」と述べた。米側は、現行計
画に基づきキャンプ・シュワブ沿岸部に移設するよりも、普天間飛行場
維持することを本音では望んでいるとの認識を示したものとみられる。そ
の上で、首相は「普天間の住民が長年にわたって危険と一緒に住み、また
騒音の問題も考えれば、そういう結論にしてはいけない。そうならないよ
うに最大限努める」と述べ、普天間飛行場の存続につながらないよう全力
を挙げる考えを強調した。 

 

普天間基地の移設問題が迷走し、その釈明のための首脳会談を断られた鳩
山首相。これについて「気候変動の大きな議論に相当の時間が割かれるの
で、簡単な話ではない」と語るものの、自らの言動によって招いた事態だ
と何故気が付かないのか。そして、今回の「アメリカとしては、何も変わ
らないのが心の中ではベストだという気持ちは伝わってきている」と言い
切り、「そうならないように最大限努める」と述べるなど、迷走ぶりに拍
車がかかっている。そうならないように、とはキャンプ・シュワブ沿岸部
への移設を意味するのか、それともマニフェストに掲げた国外、県外への
移設を意味するのか、全くもって掴めない。指導力を見限ったのか、鳩山
首相の発言が閣僚から無視されるのが日常茶飯事になっている。普天間
問題にしても、岡田外相や北沢防衛相が本気で国外、県外に移設する考え
は持っていないであろうし、特に岡田外相は「日米合意が実現できないと
きに信頼関係が維持されるのか。日米同盟の現状に非常に強い危機感を持
っている。外相として何とか打開しなければいけない」と迷走する問題を
真剣に捉えているように思える。首相の指導力が問われる中、今回の発言
によって、ますます米国は不信感を抱いたことであろう。