鳩山由紀夫首相は21日、2010度税制改正の最大の焦点になっている
ガソリン税などの暫定税率について、一定の税収を確保するため、暫定税
率は廃止して新たに導入する税に“衣替え”する方針を決めた。税率は現
在の1リットル当たり約25円の暫定税率の水準を維持する。もう一つの
焦点だった来年度創設の子ども手当については所得制限を設けない方針も
明らかにした。たばこ税については10年度から税率を引き上げる方針を
示した。鳩山首相は同日夜、記者団に「熟慮に熟慮を重ねた。税収が落ち
込んでおり、暫定税率の仕組みを変えて税率は維持する」と述べた。ただ、
衆院選マニフェストでは暫定税率廃止などを掲げており、「おわびを申し
上げないといけない」とも述べた。

 

暫定税率の廃止について、最終的には自身で判断すると決意を語っていた
鳩山首相。だが、結局は2.5兆円と言う巨額の財源欲しさに実質的に税
率の維持を表明するにいたった。これは公約違反そのものであり、減税に
よって家計支援をし内需拡大を図る筋書きも破綻してしまった。さらには
嗜好品である煙草も増税の方向であり、おそらく鳩山政権の支持率の減少
傾向が強まることだろう。看板政策である子ども手当は財源の目処がつい
たこともあって、所得制限を設けない方針のようだが、果たして永続的に
支給出来る性質のものなのだろうか。民主党の選挙戦略としては、国民に
負担を強いる控除カットは後回しにして、参院選前に子ども手当を支給し
て有利に戦いたいとの思惑は、暫定税率の事実上の維持もあって、霞みつ
つある。視界不良の政権運営に突入したと言えるだろう。