民主党小沢一郎幹事長が東京地検特捜部の事情聴取に応じた23日、政
府・民主党内には動揺が広がった。「被疑者」としての聴取だったことが
明らかになったが、小沢氏は聴取後の記者会見で幹事長職を続ける意向を
表明。続投への異論はなお顕在化せず、政府・民主党は小沢氏と「一蓮托
生」で今後も捜査や民意と向かい合わなければならない。聴取は区切りと
なるどころか、政権運営の不安要素はさらに増している。小沢氏は23日
夜、聴取を受けた東京都内のホテルで記者会見に臨み、「与えられた職責
を全うしていきたい」と明言。「捜査については今までも、今後も協力し
てまいりたい」と述べ、捜査乗り切りへの自信をのぞかせた。民主党は小
沢氏と足並みをそろえる形で検察批判を強め、世論の反発を招いてきた。
それだけに今回の聴取に対し、表向きは「一歩前進」(菅直人副総理兼財
務相)と安堵の声が相次いだ。平野博文官房長官は同日夜、都内で「政権
運営への影響は全くない」と記者団に強調した。

 

平野官房長官の「政権運営への影響は全くない」との発言は、そうなった
ら良いと言う希望的観測に過ぎない。すでに民意は小沢幹事長に対する不
信を強め、それをかばおうとする鳩山首相への不支持につながっている。
今回の事情聴取では小沢幹事長は黙秘権を告げられたと記者会見で語った
ように、被疑者扱いされていることが、それに拍車をかけることだろう。
政治資金団体陸山会を中心に、不可解な金の流れもあり、それだけの大
金を小沢幹事長が把握せずに、事務担当者に全て任せていたとは思えず、
鳩山首相のように「知らぬ存ぜぬ」で押し通すことは難しいのではないか。
水谷建設元幹部らが民主党衆院議員の石川知裕容疑者に裏金5千万円を渡
したと供述しており、裏金が土地購入の代金に使用されていたとすれば、
小沢幹事長は逃げ切れない。すでに支持率は続落傾向にあり、これを上向
かせるような秘策が無い以上、小沢幹事長の続投宣言は民主党にとって足
を引っ張るどころか、重い足枷となるだろう。