24日の沖縄県名護市長選で、米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設反
対を訴え初当選した稲嶺進氏は25日、同市で記者会見した。稲嶺氏は「
手始めに議会と協力して反対決議、あるいは意見書を決議してもらい、し
っかりと政府や県に対して市民の意思を伝えたい」と述べた。鳩山由紀夫
首相が移設先について「ゼロベースで国が結論を出す」と述べたことにつ
いては「今回の選挙は13年前の市民投票と同じで、これまでと違う。そ
のことをしっかりとくみ取っていただきたい」と強調した。政府内で同県
伊江島下地島など辺野古以外の県内移設案が浮上していることについて
は「全国の米軍基地の75%が沖縄に集中する中で、なお県内で普天間
代替施設を確保するのは無理がある」と指摘した。

 

普天間飛行場の移設問題を5月に先送りした鳩山首相だったが、本音では
名護市の辺野古沖への移設を望んでいたのではないか。今回の市長選で移
設の容認派が勝利すれば、それに乗っかる形で辺野古沖への移設を決断す
ることも、社民党を押しとどめれば可能であっただろう。反対派が勝った
とは言え、票差を見れば圧勝では無く、住民の間にしこりを残したのは事
実ではないか。基地受け入れの見返りとして、国は名護市の土地開発や施
設建設などに多額の税金を投入しており、基地の移設が出来なくなるとす
れば、まったくの無駄な投資だったことになりかねない。確かに米軍基地
が集中する沖縄の現状を考えれば、移設とは言え容認するのは難しいかも
しれないが、民主党が掲げた不用意な公約によって、行き場の無い迷路に
入ってしまったのは間違いない。