[政治]

法務省は19日の省政策会議で、男女が婚姻時に同姓か別姓かを選ぶ「選
択的夫婦別姓制度」を柱とする民法改正案の概要を示した。婚外子への相
続を嫡出子の2分の1とした現行規定を撤廃し、同一とすることも盛り込
んだ。夫婦別姓が実現すると、夫婦だけでなく子供も両親のどちらかと別
姓になるなど、家族の一体感が損なわれると指摘されており、国民新党
亀井静香郵政改革・金融相は反対を表明している。概要によると、夫婦は
婚姻時に同姓か別姓かを選ぶ。別姓にした場合、子供は夫婦どちらかの姓
に統一し、いったん別姓か同姓かを決めた後は転換できない。改正法施行
前の夫婦も施行後1年以内ならば別姓に変更できるが、子供の姓はそのま
まとする。概要は法制審議会が平成8年に出した答申と同じ内容。自民党
政権では反対論が強く実現しなかったが、鳩山由紀夫首相は「前から基本
的に賛成だ」と述べ、改正に前向きな考えを表明。千葉景子法相は3月1
2日の閣議決定を目指して改正案を準備中だとされる。

 

夫婦別姓制度のメリットとはいったい何なのか。鳩山首相や千葉法相はそ
れを国民に明確に示すことが出来るのだろうか。自身の理念を語るので無
く、今のこの時期に成立させなくてはならない理由が知りたいのである。
現在の法案では夫婦が別姓を選択した場合、その子供も自動的に父か母の
姓を名乗ることになる。平成18年末に内閣府が実施した世論調査では、
夫婦同姓を義務付けた現行法を「改めてもよい」(36.6%)、「必要
はない」(が35.0%)と賛否は拮抗。そういった状況を受けてか、民
主党は昨年の衆院選マニフェストへの盛り込みを見送ったのだろう。亀
井氏は「国民新党は絶対反対。民主党がどんな手続きを進めても無駄」と
反対の立場を崩していないが、98年以降、議員立法で提案を続けてきた
民主党だけに、成立への意欲は強いはずだ。永住外国人への地方参政権
与法案と言い、景気後退に苦しむ我が国において、他に優先的にやるべき
ことがあるだろう、と言いたいものだ。