訪米中の岡田克也外相は29日午前、ゲーツ国防長官と会談し、米軍普天
間飛行場の移設問題について、5月末までに決着させる方針を伝えた。ゲ
ーツ氏は「沖縄の海兵隊は日米同盟にとって極めて重要だ」と強調した。
岡田氏は「26日にルース駐日米大使に現時点での検討状況を説明した。
今後、協議を進め、5月末までに決着させたいとの鳩山由紀夫首相の考え
に変わりはない」と述べ、両国の外交・防衛当局の実務者協議を行ってい
きたいとの意向を示した。ゲーツ氏は「同盟深化に向けて解決を図ること
が重要だ」と語った。ゲーツ氏は昨年10月の訪日の際にはキャンプ・シ
ュワブ沿岸部に移設する現行案を「唯一、実現可能な案」と述べたが、今
回は「引き続き協議したい」と述べるなど、強硬な姿勢は控えた格好だ。
また、岡田氏は在日米軍駐留経費の日本側負担について、「来年春に特別
協定の期限を迎える。包括的な見直しを早急に行いたい」と述べた。

 

何の手土産も無く訪米せざるを得なかった岡田外相にとって、今回の会談
は苦しいものとなったことだろう。鳩山首相は「今月中じゃなければなら
ないと法的に決まっているわけではない。今後、2か月という期限でその
ような判断の中でまとめていきたい」と訳の分からない開き直りを見せ、
3月いっぱいには政府案を取りまとめるとの前言を翻した。これでは岡田
外相も会談で何も提示出来ないだろう。政府としては、シュワブ陸上部に
600メートル級のヘリコプター離着陸帯を建設し、訓練機能を鹿児島県
・徳之島などに移転する分散移転案と、最終的に米軍ホワイトビーチ沖に
代替施設を造る「2段階移設案」を検討しているようだが、辺野古沖へ移
設する現行案を最善とする米国側との隔たりは大きい。そもそも民主党
現行案が駄目で、大規模な開発の必要なホワイトビーチ沖への移設を検討
したのか。そう言った説明が無いままに、現行案を否定するのは、単に自
公政権が決めたものを覆したいだけのことではなかろうか。県外への移設
を信じた沖縄県民の声は、完全に無視されようとしている。