自民党はどの派閥にも属しない無派閥議員が33人となり、町村派の4
4人に次ぐ第2勢力となった。相次ぐ新党発足で離党者が続出したのに
加え、中堅・若手議員の派閥離れが進んでいるためだ。党内では一時、
派閥解消論も浮上したが、派閥の実態は既に有名無実化している。若手
らの間には派閥を超えた連携で党の刷新を探る動きも出ている。党籍を
離脱している衆参両院副議長を除くと、自民党の国会議員は186人。
かつて100人を超す勢力を誇った竹下派の流れをくむ額賀派は、鳩山
邦夫元総務相藤井孝男元運輸相、小池正勝参院議員らが離党し、無派
閥を下回る31人にまで落ち込んだ。最大派閥の町村派も昨年の衆院選
前に比べて半減した。派閥を見限る中堅・若手も目立つ。今月に入り、
平井卓也衆院議員が古賀派を、山本一太参院議員が町村派を、武田良太
衆院議員が山崎派をそれぞれ退会した。共通するのは「フリーな立場で
政治活動したい」という思いだ。無派閥の衆院議員26人のうち20人
は当選6回以下で、参院選後の執行部体制一新をうかがう狙いも透ける。

 

民主党の勢いが急速に衰える中で、自民党は存在感を発揮出来ていない
現状である。昨年の衆院選自民党が大敗したのは、民主党以外の選択
肢として民主党が台頭してきた、それが主な理由だった。つまり、民主
党に任せれば政治を変えてくれるとの期待が集まったわけだ。だが、鳩
山政権は迷走を続けたことで、期待が失望へと変わり、支持率は下がる
一方だ。本来なら、そこで自民党民主党以外の選択肢とならなくては
ならないはずだが、一年足らずでは、自民党の体質は変わらないと有権
者は見抜いているのだろう。そう言った空気に影響されたのか、離党者
が相次ぎ、自民党の分派とも言える新党を乱立させる結果となった。次
期首相の期待が高かった舛添氏が離党し、選挙の顔を失ったものの、執
行部の権威が失墜したことで、若手が活躍する芽が出てきたと言えるだ
ろう。中選挙区制の名残でしかない派閥も、そろそろ役目を終える時が
きたのではないか。有権者からすれば派閥の論理こそ、古い自民党の象
徴そのものである。実態が有名無実化していくことも、当然のことでは
なかろうか。