菅直人首相は15日夜、都内で仙谷由人官房長官ら政府高官と会食し、「ね
じれ国会」の打開策について「新たに国民に参加してもらうことで、超えら
れる可能性がある」との考えを示した。具体策には踏み込まなかったが、政
府筋は、首相が4日間の夏休みでこうした考えを持つようになったと解説し
た。会食で首相は「ねじれているが、自民党政権でも、乗り越えられなかっ
た問題はたくさんある」と前置き。「新しく国民の皆さんに参加していただ
ける民主主義の形が模索できないか。市民派としてやってきた首相として、
国民的な課題を議論できる場を作ることを探りたい」と語った。各会有識者
に一般市民を加えた新たな議論の場を設けることをテコに国会運営を乗り切
りたい考えとみられるが「国会軽視」「場当たり対応」との批判も出そうだ。

 

そもそも国民的な課題を議論する場、とは国会のことではないか。国民の付
託を受けた国会議員が、国民的な議論をしないでどうするのか。「ねじれ」
状態に追い込まれなければ、このような考えには至らなかったのだろうが、
いかにも場当たり的な発想で、素直に受け入れる人は少ないだろう。野党の
協力が得られるように努力するのが、参院選で大敗した菅首相民主党の義
務である。それを放棄して国民参加の議論の場を、などと言い出すようでは
ますます求心力を失うことになる。9月の代表選を前にして、このような発
言をしていては、菅首相を支える面々も呆れたのではないか。「ねじれ」と
言う現実を見ずに、市民派を気取っているように見える。まずは9月の代表
選を乗り切ることが当面の課題であろう。