防衛省が今年12月、新たに策定した沖縄・南西諸島の防衛警備計画に基づ
き、陸海空自衛隊による初の本格的な離島奪回訓練を、大分・日出生台演習
場などで実施することが、18日、明らかになった。東シナ海における中国
海軍の勢力拡大をけん制するのが狙いとみられる。訓練は日米共同統合演習
の一環として行われ、米海軍第7艦隊が支援する。訓練は、青色軍と赤色軍
に分かれ、大分県内の陸上自衛隊日出生台演習場の一部を離島に見立てて行
われる。まず、赤色軍が自衛隊の配備されていない離島に上陸、占拠し、島
内に対空ミサイルなどを備え付けるとともに、周辺海域に海軍艦艇を集結さ
せているという状況から始まる。すぐさま防衛出動が発令され、防衛省は、
対地、対艦攻撃能力の高い空自F2戦闘機と海自P3C哨戒機を出動させる。
赤色軍の対空兵器を弱体化させるとともに、陸自空挺団員など約250人が
乗り込んだ8機の空自C130輸送機が、空自F15戦闘機の護衛を受けな
がら離島に接近する。空挺団員らは次々にパラシュートで降下し、海空自の
援護射撃を受けながら赤色軍を制圧、島を奪い返すというシナリオだ。

 

中国と我が国は友好的な関係にあるとは言え、尖閣諸島の領有権を主張した
り、東シナ海のガス田問題などが存在していることを忘れてはならないだろ
う。現に中国軍は外征のための兵器でしかない、空母の建造にまで着手しよ
うとしている。2009年の中国の実際の国防費は1500億ドルと推計さ
れているようだが、中国が公表した国防予算案は4806億元(約6兆60
0億円)だった。2倍以上の開きがある。逆に我が国は防衛予算は削られる
一方で、結局は日米同盟を基盤とした防衛戦力を整えるのが前提となる。今
回の離島奪回訓練は、島国で多くの離島を持つ我が国の国土事情にあったも
ので、実際に離島を占領された際の対応として、貴重なデータをもたらすの
ではないか。例えば現在は無人島の尖閣諸島に他国が上陸し占拠した場合、
如何に奪回するかが自衛隊はともかくとして、政府で検討されているとは思
えない。周囲が善意にあふれる国ばかりなら、軍隊など必要はないだろう。
しかし、現に核ミサイルの照準を合わせている国が存在するのだ。国を守る
のは政府の最大の義務である。