9月の民主党代表選について、小沢一郎前幹事長の出馬を求める声が党内で
強まった。同党の樽床伸二国対委員長三井辨雄国対委員長代理ら中堅議員
は20日夜、都内で会談し、「小沢氏でなければこの難局は乗り切れない」
との認識で一致。また、山岡賢次副代表は来週にも出馬を要請する考えを表
明した。これを受け、小沢氏も近く判断する見通しだ。樽床氏らの会合には、
鳩山由紀夫前首相グループの平野博文官房長官、小沢氏側近の樋高剛前副
幹事長も出席。小沢氏の説得を輿石東参院議員会長に要請することを決めた。
山岡氏は同日午後、都内で記者団に対し、「来週から、小沢氏がベストと皆
さんのコンセンサスがあるならば、出馬を願いたいという段取りになる」と
述べた。小沢氏は25日、都内で自らが主宰する政治塾で講演する予定で、
同氏への出馬要請はその前になるとの見方が出ている。

 

熾烈な権力闘争が始まった民主党。すでに表舞台からは退場したかに見えた
小沢氏も、非主流派からは待望論が沸き起こり、復権を果たす可能性が出て
きた。最近も「しっかりした神輿をつくるから乗ってほしい」と側近からは
出馬を促すような発言が出ており、小沢氏も決してまんざらではないだろう。
政権交代の勢いは失われ、与党として野党の攻勢を受ける立場にある。さら
に、自らが自公政権を追い詰めるのに利用した「ねじれ国会」が立ち塞がる
のだ。この難局を乗り切れるのは剛腕と称される小沢氏しかない、と側近た
ちは騒ぎ立てるが、政治とカネの問題に蓋をすることになりはしないだろう
か。それにしても、菅氏にせよ、小沢氏にせよ、他に民主党には候補がいな
いのかと言いたくもなる顔ぶれである。そろそろ違う顔が出てきても良い頃
ではないだろうか。