馬淵沖縄相は2日午前、就任後初めて沖縄県を訪問し、県庁で仲井真弘多
事と会談した。米軍普天間飛行場を同県名護市辺野古に移設する政府方針に
理解を求める一方、同県の基地負担軽減を図る考えを伝えた。仲井真氏は「
日米共同声明を見直し、普天間飛行場の県外移設に取り組むよう要望する」
と述べ、県外移設を政府側に初めて正式に要望した。これに対し、馬淵氏は
「政府一体の取り組みということも含めて、知事の要望を受け止めながら、
沖縄相として取り組める課題については、一つ一つ進めていきたい」と述べ
た。また、尖閣諸島沖の日本領海内で起きた中国漁船衝突事件について、仲
井真氏が「県民の生命、財産、漁業権が侵害されないよう諸外国に毅然とし
た態度を示し、適切な対応を講じてほしい」と要望した。

 

再選を目指す仲井真氏にとって、普天間基地の移設問題は避けては通れない
道である。鳩山政権がこの問題を迷走の果てに、取り返しのつかない事態に
追い込んでしまった。後を継いだ菅政権が妙案を持っているとは思えず、日
米合意で決まったことを進められるとも思えない。普天間基地を抱える宜野
湾市長の伊波氏も知事選に立つようだが、仲井真氏が県外移設を要望したこ
とで、争点が見えにくくなってきた。当初、仲井真氏は移設容認派と見られ
ており、県外移設を訴える県民大会に出席した際も、慎重な言い回しで反対
派・容認派にも配慮をした。そう言う意味では仲井真氏は鳩山政権の迷走の
ツケを払う羽目に陥っているわけだが、かなり苦しい立場であろう。普天間
基地の固定化につながることは避けねばならず、かと言って県外移設は容易
なことでは無い。再選を果たせても、県外移設が実現出来るかは、仲井真氏
だけの力では不可能だからだ。