菅直人首相が東日本大震災対応で与野党の垣根や党内対立を越えた態勢をつ
くろうと躍起になっている。自民党との連立政権を画策し、19日、谷垣禎
一総裁に入閣を要請。対立関係にある民主党小沢一郎元代表にも協力を求
めた。しかし、谷垣氏は拒否、小沢氏の態度もはっきりしない。首相の狙い
通りには進んでいない。谷垣氏は同日夕、首相に入閣を断った後の記者会見
で「新しい連立をつくるには政策をどうするのか、ある程度の下支えの議論
が必要だ。国家的危機だから『はい、そうですか』とはいかない」と述べた。

 

唐突な入閣の要請に困惑したのは自民党だけでなく、政府側もそうだったの
ではなかろうか。谷垣氏が国家的危機だからと言って、別に入閣をしなくと
も協力は出来るとしたのは正論である。副総理兼震災復興担当相としての入
閣要請だったようだが、震災復興担当相は民主党内から出すのが筋だろう。
面倒なところだけアウトソーシングしているようにしか見えない。この状況
でも場当たり的な対応を見せているのは、もはや相変わらずとしか言いよう
が無いだろう。危機を乗り切るには連立も一つの手段ではあろう。だが、与
野党が協力する形は連立だけではない。豊富なノウハウを持つ自民党に耳を
貸すのも、菅政権の仕事の一つではなかろうか。