菅直人首相は19日午後の衆院予算委員会で、東日本大震災の本格的な復興のための2
011年度第3次補正予算案について、「復興の基本方針を今月中にまとめ、3次補正
という形に、できれば与野党共同で仕上げていきたい」と述べた。自民党小里泰弘
への答弁。民主党執行部は既に退陣表明している首相を8月中に辞めさせ、新政権での
3次補正提出を目指している。首相は12日に3次補正編成の準備に取り組むよう各閣
僚に指示しており、首相の答弁は、自民党の17兆円規模の復興策など野党の提案も参
考にしつつ、3次補正編成を通じたさらなる続投に意欲を示したものとも受け取れる。
また、首相は審議中の2次補正予算案に本格的な復興費計上を見送った理由について、
「本格的な復興予算の段取りも考えたが、1次補正に盛り込めなかった二重ローン対策、
原子力災害賠償費用を急ぐべきだと(考えた)」と述べた。

 

与野党共同で仕上げていきたい、と退陣を決めているはずの菅首相が言うのはおかしい
だろう。本格的な復興予算となるはずの3次補正予算案は、死に体と化した菅政権で編
成するには荷が重すぎる。菅首相はすでに3次補正編成の準備に取り組むよう各閣僚に
指示しているが、これが延命措置であるのは明らかである。2次補正予算案は野党の協
力もあり、成立の見込みは立っているものの、赤字国債の発行を可能にする特例公債法
案が成立しないと、円滑な予算執行が困難となる。今の時点で特例公債法案が成立して
いないのは、明らかな異常事態であろう。野党が人質に取っている以上、菅首相が自ら
のクビを差し出して成立を図るくらいのことは必要だろう。それにも関らず、妙なやる
気だけを見せる菅首相。その自信はどこからくるのか、聞いていみたいものだ。もはや
退陣は既定路線である。民主党執行部は引導をきちんと渡すべし。