野田佳彦新首相は31日午後の同党両院議員総会で、輿石東幹事長ら新たな党役員人事
について、「全体を見渡して戦略的にパスを回せるミッドフィールダーの集団が必要だ。
そういう観点から提起した」と、攻めと守りの両方に対応できる実務型の布陣であるこ
とを強調した。サッカーでミッドフィールダーは、フォワードとディフェンスの間に位
置して、守りに協力しながら攻撃にも参加するポジション。野田氏は「私も含めてセン
ターフォワードになりたい人はいっぱいいる。しかし、一番必要なのは、掛け替えのな
い同志が存分に力を発揮する態勢だ」とも語り、スタンドプレーに走りがちな同党議員
を戒めた。

 

野田首相にとって今一番必要なのは、党内をきちんとまとめてくれる執行部の存在であ
ろう。輿石氏の幹事長起用は小沢氏への配慮であるし、前原氏の政調会長起用は、決選
投票で推してくれたことに対して報いたのだろう。「全体を見渡して戦略的にパスを回
せるミッドフィールダーの集団が必要だ。そういう観点から提起した」と野田首相は言
うわけだが、これは閣僚が各々勝手な発言を繰り返し、内閣を迷走させた鳩山、菅政権
の教訓を得てのことであろう。歴史的な政権交代を果たしながらも、国民の政治不信を
高めるだけに終わった、この2年間は取り戻せない。野田首相はマイナスからのスター
トだと言うことを肝に銘じておくべきだろう。