民主党山田正彦前農相は30日、テレビ朝日の番組で、環太平洋連携協定交渉参
加問題について「参加すれば農業だけでなく、金融や保険などにも影響が及んでく
る」として、重ねて反対姿勢を示した。この後、山田氏は記者団に、政府が交渉入
りを決めても国会での批准は困難との認識をあらためて強調。自民、公明両党など
の議員とともに、週内にも反対集会を開くと明らかにした。一方、福山哲郎前官房
副長官は同じ番組で「TPPか農業か、ではなく、TPP参加と農業改革の両方を
進めないといけない」と反論。「日本が貿易国として発展するため、まず交渉に参
加すべきだ」と述べた。

 

民主党内の反対派の旗頭となっている山田氏だが、反対派が徐々に切り崩されてい
ることに焦りを感じているのではないか。野田首相は交渉参加の方向で動いており、
輿石幹事長は「(首相が)APECに行くまでに方向性をきちっと決めるのが政府
・民主三役会議の役目だ」と強調し「来月10日前には一定の方向を出さなければ
いけない」と表明。さらに前原政調会長は「政府の結論に不満が残る人に配慮して
物事を決めなければ政策は前に進まない。責任政党、与党としての責任を果たせな
い。おのずと時間の区切りはあってしかるべきだ」と反対派の動きを切って捨てた。
TPPに参加することで、どれだけのメリットがあるのかを政府は国民に説明をし
てきたのだろうか。その辺りが果たされないまま、突っ走られても困惑するだけで
はないか。きちんとした議論を求める。