野田佳彦首相は7日の衆院本会議で、フランス・カンヌでの20カ国・地域首脳会議
で消費税率の10%への引き上げを表明したことについて「国内で方針として示した
ことを国際社会で説明し、アクションプランに入れた。できなかったら責任を取ると
いう話はしていない」と述べ、「国際公約」ではないと強調した。首相は国際公約
「説明」に格下げしようと必死だが、野党側は首相の“逃げ口上”だと反発している。
首相は、年末にかけて「社会保障と税の一体改革」に伴う消費税率引き上げ時期を具
体化させ、来年3月までに関連法案を提出、次期通常国会で成立させたいとしている。
会期内の法案成立を目指すには自民、公明両党の協力が欠かせない。しかし、両党は
関連法案提出前の衆院解散・総選挙を求めている。

 

野田首相はG20の場で消費税率の10%への引き上げを表明したわけだが、それは
当然「国際公約」と受け止められても仕方無いだろう。さらに、消費税率引き上げの
法案を成立させてからの解散総選挙としたのも、反発につながっている。自民党や公
明党も消費税率の引き上げには同調するかもしれないが、野田政権を追い込む材料と
して使う可能性もあるだろう。そのためには法案の成立前に引き上げの是非を問う選
挙戦に持ち込みたい。そんな思惑が見え隠れする中、野田首相は「国際公約」では無
いと説明するものの、そう簡単には収拾しない問題では無いか。財政再建は喫緊の課
題とは言え、野田首相の進め方には疑問がある。TPPもそうだが、結論ありきなの
が問題なのである。