「もう一度、みんなと協議するが、首相が参加を表明したら、重大なことになる」山
田正彦前農相は9日午前、国会内で緊急の記者会見を開き、首相がTPPの交渉参加
を表明した場合、離党も辞さない構えを強調した。慎重派の議員はこれまでも「離党
カード」をちらつかせ、首相に交渉参加を思いとどまらせる戦術をとってきた。山田
氏が率いる議員連盟「TPPを慎重に考える会」には、衆院比例単独議員や選挙地盤
の弱い若手議員も多い。「このまま民主党に残っても先はない。いっそのこと、TP
Pや消費増税に反対する新党をつくった方が、次期衆院選で当選する可能性が高くな
るのではないか」(民主党1回生)と、選挙最優先の姿勢をあらわにする議員もいる。

 

TPP交渉参加の是非をめぐって野田政権は難しい判断を迫られそうだ。もともと参
加ありきで進めてきた野田首相にとって、反対派がここまで強硬とは考えていなかっ
たのではないか。また、与党の国民新党、野党の共産党社民党は反対を打ち出して
おり、自民党公明党も反対派が党内にいる。もはや国会内が賛成派、反対派で色分
け出来るような状況なのだが、特に深刻なのは民主党内であろう。TPP反対を打ち
出した方が票になる、そんな判断をする若手が出てきても不思議では無いのだ。野田
首相が政治判断する、と意気込んだところで事実上、手を縛られた状態にある。むろ
ん反対派の「離党カード」もどこまで通用するかは疑問である。離党など出来はしな
いと野田首相が踏めば、一気に流れは変わってくるかもしれない。いずれにせよ、今
後も注視していく必要があるだろう。