政府・民主党は30日、消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に
引き上げることを柱とする社会保障と税の一体改革の原案をまとめた。野田佳彦首相
は記者団に「非常に大きな前進だった」と強調。来年1月第1週の政府・与党の社会
保障改革本部で、一体改革の素案として正式決定し、野党に協議を呼び掛ける考えを
示した。首相は、消費増税法案などの今年度末までの国会提出を明言し、一体改革の
実現に向け「先頭に立つ」と決意を表明した。ただ、自民・公明両党などが協議に応
じない構えの中、民主党内の増税反対派が離党も視野に抵抗するのは確実。政府が混
乱なく法案を提出できるかが、政局の焦点だ。

 

野田政権は宣言通り消費税率の引き上げを固めたようだが、野党の協力なくして法案
は成立しない。さらには民主党内にも増税反対の動きが出始めており、法案が順調に
成立する見通しは無いのだ。段階的に消費税率を引き上げるとは言え、景気が悪化し
た場合に税率上げを停止する弾力条項について、成長率など具体的な数値設定を見送
っており、この点も激しい議論となることであろう。党内の意見すら統一出来ないま
ま、果たして野田首相に勝算があるとは思えない。野党が歩み寄るとも思えず、消費
税率の引き上げどころか、予算関連法案を人質にとれら解散に追い込まれるのではな
いか。増税反対を旗印に新党が立ち上げられる可能性も無視出来ず、野田首相にとっ
て2012年は波乱の一年となりそうだ。