野田佳彦首相が先月中旬、自らの指南役である首相経験者をひそかに首相公邸に招き、
消費税増税関連法案が成立しなかった場合、衆院解散に踏み切る意向を伝えていたこ
とが2日、分かった。複数の首相周辺が明らかにした。首相は、消費税増税に向け「
不退転の決意」を表明しており、3月に関連法案を閣議決定し、通常国会で成立を期
す構えだが、衆参ねじれに加え、民主党に反対論が強く成立は困難な情勢。首相は解
散権を振りかざすことで事態を打開したいようだが、早期解散にかじを切った自民、
公明両党の協力を得るのは難しく、3月にも政権は重大な局面を迎える公算が大きい。

 

野田政権の覚悟が問われている。消費税増税関連法案の成立の見通しが立っていない
以上は、選択肢としては信を問うしかないであろう。離党者が相次ぐ民主党にとって
その決断を止めたいのが本音ではないか。野田首相は「首相の座に延々ととどまり続
ける気は毛頭ない。ただ、消費税率の引き上げは任期中に必ず成し遂げたい」と強調
し、「もし不成立となった場合は総辞職をすることはない。衆院解散・総選挙で国民
の信を問いたい」と語ったとされる。菅首相が消費税率10%を掲げて戦った参院選
は惨敗を喫し、衆参のねじれを招いた。そのまま何も仕事をさせてもらえないまま、
震災への対応に追われて「退陣偽装」をやってまで政権を維持しようとした。200
9年の衆院選政権交代を果たしながらも、国民の支持を失った理由は何か。それを
理解出来ないようでは、野田首相も同じ運命を辿るであろう。