民主党の小沢元代表は、岩手県で開かれた会合であいさつし、予算編成などについて
政府を批判した。小沢氏は「相変らずの霞が関支配が続いていて、旧来と同じ手法、
仕組みによって、予算の配分が行われている」と批判した。小沢氏は、震災をめぐる
政府の予算対応を批判したうえで、「衆議院の任期は2年を切っており、2012年
中に突破口を開かなければならない」と、野田政権への強い危機感を示した。一方、
野田首相は高校の同窓会であいさつし、消費税増税を含む財政再建への不退転の決意
を示したうえで、「最近は後ろの方からも弾が飛んでくる」と述べ、小沢氏ら党内の
増税反対派をけん制した。

 

代表選で野田首相の誕生を許した小沢氏にとって、復権を果たすため野田首相と対峙
する道を選んだようだ。もはや民主党は分裂状態にあると言って良いだろうが、小沢
氏のあくなき権力への執念は凄まじいものがある。自身が幹事長の時代に擁立、支援
してきた新人議員を束ね、これを数の力として活用してきた。野田首相が解散・総選
挙に踏み切れば、小沢氏の力の源泉たる新人議員はほとんどが落選することだろう。
野田首相も勝算なき選挙に踏み切れるかは微妙なところである。自民党公明党が早
期解散路線に舵を取り、通常国会の開会を手ぐすねを引いて待っている。問責閣僚で
ある一川氏、山岡氏が続投するようでは、通常国会は空転し続けるだろう。身動きが
取れないまま、党内からも突き上げをくらい立ち往生する可能性が高い。そう言った
永田町の論理が国民のためになるとは到底思えないが。