民主党内の各グループは、野田首相が人事でどのような姿勢を打ち出すのかを注視し
ている。最も関心が高いのは、岡田克也前幹事長の処遇だ。岡田氏は12日、自ら会
長を務める党行政改革調査会の総会に出席したが、人事については無言を貫いた。岡
田氏は、菅政権の幹事長として小沢一郎元代表党員資格停止処分を主導するなど「
脱小沢路線」を推進した。このため、党内最大の小沢グループからは「岡田氏が副総
理になれば、小沢元代表は倒閣にかじを切る」とけん制する声が出ている。「副総理
は首相のお目付け役だ。岡田氏以外で、意見の異なる人物を置いた方がいい」(鹿野
農相グループ)との声もある。

 

野田首相にとって今年の通常国会は正に山場となるだろう。迷いに迷ったあげく、問
責閣僚を更迭したわけだが、遅きに逸したとの批判を浴びるだけの結果となった。す
でに出鼻からくじかれた格好に、岡田氏の起用と言う手を持ち出してきた。菅政権下
で党内対立を激化させたのは、脱小沢路線を推進した岡田氏だ。むろん、菅前首相が
その大元なのだろうが、野田首相は前政権の二の舞にならないよう、党内融和を目指
した閣僚人事をした。それがあえなく破綻し、再び主流派による純化に走るとすれば
党内は大きく混乱することであろう。内ゲバで党を滅ぼすことになるのか、野田首相
は難しい判断を迫られている。