野田佳彦首相は23日午前の参院予算委員会で、民主、自民両党による「大連立」政
権の可能性について「国民のために政治を前進させていく中で一つの可能性としては
あると思うが、現実的には今、困難だと思う」との認識を示した。川上義博氏への答
弁。首相はまた、消費増税法案の提出へ向けた民主党の事前審査手続きが難航してい
ることに関連し「活発な議論を経た後にきちんと結論を出す政治文化を作らねばなら
ない。(党が)割れたり、散ったりがあってはならない」と党分裂を避けたい意向を
強調。「きちんと年度内に(国会に)提出したい。必要ならばいつでも対応する」と
自ら党の会議に出席して反対派の説得にあたる考えも示した。

 

大連立とは、これまでの例からも構想が漏れれば実現しないものである。トップダウ
ンで決められれば良いが、そうことがうまく運ぶことも無く、頓挫してしまうのだ。
野田首相としては大連立で一気に税と社会保障の一体改革を片付けたかっただろうが、
自民党がこれには乗らず、他の野党も大連立構想に反発して協力を仰ぐどころではな
くなった。それだけ大連立とは構想だけでリスキーなものなのだろう。「国民のため
に政治を前進させる中で一つの可能性としてはあるが、現実的には今は困難だ」と、
野田首相が自分が言うのだから、もはや可能性はないかもしれない。小沢グループ
反増税の立場を明確にする中、これ以上は自民党に秋波を送っても、足元をすくわれ
かねないと判断したのではなかろうか。