野田首相民主党代表)は8日夕、都内で開かれた民主党両院議員総会で、自民党
が確約を求めている衆院解散の時期について、「内閣総理大臣の専権事項、大権とし
て、解散の時期を明示することはどんな事情があってもできない」と述べた。首相は、
「決めるべき時に先送りせずに決める政治を実現できるかどうかの瀬戸際だ」と述べ
た。その上で、自民、公明両党との党首会談で、社会保障・税一体改革関連法案の早
期成立と、新党「国民の生活が第一」などの野党が提出した内閣不信任決議案と首相
問責決議案の否決への協力を呼びかけることを表明した。

 

野田首相衆院解散の時期を明示しないのは、内閣総理大臣の専権事項、大権が云々
とは言い訳に過ぎず、内紛によって分裂した民主党衆院選を戦うだけの力を失った
ためであろう。さらには政権交代の風が止み、むしろ逆風下にある中での選挙など、
どうあっても歓迎されるものではない。しかし、野田首相が政治生命を賭けるとした
消費増税法案がこのまま廃案となっては、この数カ月間はいったい何だったのかとの
批判を浴びることになる。代表選で再選出来たとしても、選挙の顔では無いとして、
野田降ろしが起きる可能性もあるだろう。いずれにしても、自民党の要求を撥ね退け
るだけの力が残されているとは思えないのだ。