民主党が海江田代表のもとで「奇妙な安定」を示している。衆院選参院選の惨敗で
党内の結束が最優先課題となり、敵を作らない海江田氏の温厚な人柄が評価されはじ
めたことが大きい。海江田氏について、野党時代の自民党を率いた谷垣禎一・前総裁
になぞらえる声も出ている。海江田氏は4日、北海道で農業の現場を視察した。昨年
12月の代表就任以来、「靴底減らし運動」と名付けて取り組む地方行脚の一環だ。
帯広市ではビートの収穫作業に参加し、政府が進める環太平洋経済連携協定交渉につ
いて農家と意見交換。「国益が本当に守られるのか政府をただしていく」と強調した。

 

海江田氏が率いる民主党参院選でも惨敗した中で、それでも代表を続けていられる
のは他になり手がいないからだろう。火中の栗を拾った、とさえ言えない状況の中で、
党の立て直しに取り組んでいる海江田氏の足を引っ張っても、メリットはない。それ
だけに谷垣氏になぞられる声も出るだろうが、谷垣氏が首相になれなかったのも、そ
の性格が災いしたのではなかろうか。むろん、民主党自民党のように復活出来ると
は思えない。一度やらせてみよう、そんな安易な考えが極めて重要な期間を失ったこ
とを忘れてはならないのだ。