総工費の膨張が批判を浴びている新国立競技場の建設問題で、安倍晋三首相が建設計
画の白紙撤回を表明した17日、これまで財源確保や建設計画を推進してきた文部科
学省内からは戸惑いや先行きを不安視する声が相次いだ。「白紙って、これまでの手
続きをどこまで戻すのか…」。安倍首相の白紙撤回表明を受け、文科省職員の一人は
抜本的な方針転換に絶句。「『今からの見直しはほぼ不可能に近い』と国会などで説
明してきたのに、今からのスタートで本当に間に合うのか」と首をかしげた。

 

新国立競技場は総工費が2520億円に膨れあがったことで、建設計画は撤回される
ことになったわけだが、いったいこれまで何をしていたのかと批判をされても仕方が
ないだろう。競技場が完成していないまま五輪を迎えることになる事態だけは、何と
してでも避けなければならない。年明けに着工すれば、2020年の春には間に合う
との試算もあるようだが、あくまで試算であろう。少しでもずれ込むと間に合わない、
このリスクを背負うのは並大抵の業者では難しいのではなかろうか。