死者12人、負傷者5000人以上という未曽有の被害を出した無差別テロ「地
下鉄サリン事件」から、20日で丸10年を迎えた。東京の中心を走る営団地下
日比谷線、千代田線、丸ノ内線で乗客の多い朝のラッシュ時を狙うという犯行
は正に「無差別」であり、首都を大混乱へと陥れた。

 

オウム真理教というカルト集団が起こした未曾有のテロは、国家に対する明確な
挑戦であった。その後、行われた強制捜査により首脳部はほぼ壊滅したものの、
いまだ麻原彰晃への帰依を続けている信者がおり、国家だけではなく地域ぐるみ
での監察がかかせない。信者の人権を問う声もあろうが、あれだけの事件を引き
起こした団体を野放しにする方が不安を煽るだけである。

 

毒ガスを使用したテロは世界を見ても、非人道性(爆弾が人道性があるわけでは
ないが)からゼロに等しい。如何にオウムがカルト集団であろうとも、毒ガスを
テロに使用することを後押ししたのは何だったのであろうか。彼等が残したのは
地域社会との相変わらずの軋轢と今なお後遺症に苦しむ多くの被害者達だけであ
る。テロの恐ろしさを噛み締めつつ、犠牲者の冥福を祈りたい。