中国での反日暴動は、当局の「黙認」を得たものは警官隊の様子を見ても明ら
かであり、すでに陳謝して済ませるレベルではなく、大使館という国の出先機
関に損害をあたえたのであるから、それを賠償してしかるべきであろう。だが
相変わらず中国側は、反日デモの原因は「歴史問題での日本の誤った態度にあ
り、日本は反省に値する」として、日本に責任があると言い切っている。

 

一党独裁国家の中国でデモを計画しても、当局の許可など滅多におりないわけ
で、今回の反日デモは国内の不満をガス抜きさせる常套手段であるとの指摘も
あり、不満の矛先を政府ではなく日本に向けさせているだけなのだ。政府とし
ても矛先を向けさせた手前、日本の謝罪・賠償要求は何としてでも突っぱねざ
るをえないジレンマに陥っているのではないか。

 

反日デモに注目が集まった裏では、中国浙江省東陽の村で十日、化学工場の公
害問題をめぐり、農民ら三万人を超える住民が暴徒化し、警官などの治安部隊
と衝突していたようだ。反日デモなど取るに足りない、より深刻な暴動が内部
では起こっているのだ。むろんこの暴動については報道規制はされていたよう
で、香港の英字新聞がこれを伝えている。

 

成長の影で共産党による一党独裁体制に歪みが生じ、不平不満をもった民衆が
各地で暴動を起こす、その序曲はすでに奏でられているのかもしれない。