読売新聞社が実施した「戦後60年」に関する全国世論調査(面接方式)で、
政治の地盤沈下が指摘される中、多くの国民が“人間ブルドーザー”“ワンマ
ン”との異名をとった田中角栄吉田茂両元首相ら力強い指導者を、改めて高
く評価していることがわかった、とのこと。戦後日本の発展の功労者を聞いた
ところベスト3の顔ぶれは、トップは田中元首相で、ほぼ5人に1人がその名
を挙げた。2位は吉田元首相、3位は佐藤栄作元首相と続いている。

 

老練な外交術で占領下の日本を国際社会に復帰せしめた吉田茂再軍備を阻む
など戦後日本の基礎を作ったのは間違いないだろう。最終的には首相の座に固
執したことで、党人達に追い落とされたワンマンでもあった。自民党総裁に4
度就き、現在の自民党の党規では越えられることはない在任期間を誇った佐藤
栄作。いわゆる「吉田学校」と呼ばれた吉田茂門下の官僚出身の政治家で、兄
は昭和の妖怪、A級戦犯でもあった岸信介。佐藤はワンマンであるが故に、こ
世論調査で1位に選ばれた田中角栄に足をすくわれることとなる。

 

佐藤退陣後の跡目を狙った福田赳夫を退け、石橋湛山以来久しぶりに党人の総
裁が生まれたわけだが、首相在任時の印象よりやはり自民党キングメーカー
として君臨した「闇将軍」の方が圧倒的に強い。ぶち上げた列島改造論は土地
投機を生み、今なお生きる土地神話をも作り出してしまった。退陣後はロッキ
ード事件で離党をよぎなくされるが、田中軍団は膨張し続け「派閥」の力関係
を崩壊させ田中派の協力なしに他派閥は総裁候補を出せなくなる始末であった。
一番良い例として、中曽根内閣が「田中曽根内閣」「角影」と揶揄されたこと
であろう。(以上、敬称略)

 

また、今の日本の政治で最も強い力を持っていると思う組織では、「官僚」が
38%で最多。以下、「アメリカ」26%、「首相」23%などの順で、官僚
国家の現実を誰もが理解している。戦後の混乱期から安定期にかけては、官僚
組織が最も機能した時代であったが、今となっては既得権益の確保にのみ精を
出し、縄張り争いに明け暮れる姿を見なくてはならないのが現実である。まぁ
官僚に良い様に使われている政治家がいるのも間違いないわけだが・・・